お食事に行こう 5 ( 敦盛君と語ろう 編 )
「これはこれは…。鞍馬の鬼が…、何か用なのか?」
リズヴァーンは優しい眼差しで
「『腹が減っては』何とやら、と云う言葉もある。さ、入りなさい」
「別に…戦は…、この世界では、したくとも……、出来ない…がな。ククク」
「あまり、天の白虎をからかわぬことだ」
「ホォ…、さすがだな…。鬼の千里眼…か?」
「いや」
「では、どうして…俺が有川弟に…兵糧責めにあっていると…分かったのかな?」
「……」
「勘…か…?」
「……答えられない」
「まあ、いい…。
で…? 何を食わせて…くれるのかな?」
礼も言わずにリズヴァーンに付いて、書道教室に入ると、
そこにはヒノエと敦盛が座っていた。
「ホォ…、鬼の宴に…大夫殿も同席…とはな」
「と、知盛殿…」
「これは…、おもしろい趣向だ…な」
「あまり敦盛を威嚇しないでもらいたいものだね」
「ホォ…、誰かと思えば…、熊野別当…殿か」
「食事は共に食する者の数が多いほど、美味となる」
「ククク…、鞍馬の鬼は…人恋しいと見える」
「そうだ…。
こうして書道教室などを営み、子供達に囲まれる、
誰かと穏やかに酒を酌み交わす、
談笑を交わす、
……これらを『幸せ』というのではないだろうか」
「わ、私にも…、このように穏やかな日々を迎えることが出来ようなどとは、思ってもいませんでした」
「…つまらん……な」
「知盛殿がつまらないと仰っている時ほど、
世の中は平和で良いのでは…、あ! いえ、その…」
「大夫………殿……」
「す、すみません。ただ、わ、私は……」
「…だから……、俺は…こうしているの……だろう…」
「と、知盛殿…」