八葉を驚かそう  ( ヒノエ君編 )





「ホォ、どんな……海の男も畏れ敬い…、一目置く『熊野の頭領』…」



 「ヘェ−、嬉しいこと、言ってくれるね」



 「…が、こんな……華奢なガキ……だったとはな」



 「何だって!」



 「ヒ、ヒノエ…」



 「ククク」



 「と、知盛殿も…」



 「ヘェ、そっちこそ、五万の源氏の軍勢をたった一騎で震え上がらせ

  平家に"その人あり"と評判の『新中納言・平知盛』殿が」



 「ククク……」



 「こんなダッサイおっさんだったとはね。源氏の弱虫も度が過ぎるね」



 「ああ…、そう言えば、叔父上……殿に…、良く似ていらっしゃる……ではないか」



 「叔父上殿?」



 「比叡で…学を修められた…と、言えば……お分かりか?

  苦しむ…市井の衆生を救うべく、…薬師として…尽力されておられる……

  それを…お忘れとあらば……、なんと冷たい……」


 「ああ、弁慶あいつか…。できることなら、きれいさっぱり忘れたいものだけれど、ね」



 「ククク」


 「そういう知盛あんたも、弟殿に生き写しだともっぱらの評判じゃん。

  この世のモノとも思えない程の、凄まじい美男の兄弟だね」



 「重衡……か」



 「ああ、そっくりだから、区別してもらうために顔に入れ墨、入れたのかい?」



 「それは……『とっぷしーくれっと』だ……な、敦盛殿…」



 「わ、私は、存じません…」














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