母 帰る 17
dragon noirの入り口の扉が勢いよく開かれる。
「みんな! いる!?」
「望美!」
「朔、お待たせ!」
「望美! 留守…何とかは聞いたのだろうな?」
「うん、九郎さん。帰り際に聞いてビックリしたよ」
「それでは、事情はお分かりですね?」
「はい」
「も〜、昼過ぎからず〜〜っと探してたんだけどね〜」
「後は望美だけが頼りなの」
「ヘヘヘ」
「? 望美? 何を笑って……え!? まさか」
「そ! その『まさか』!」
望美は店の入り口に走って行く。
「さあ、入って下さい」
「あ、あの……、……このような騒ぎになるとは……、す、すまない……」
そこに所在なく現れたのは、皆が今日1日探し回っていた当人、平敦盛であった。
口々に敦盛の名を叫び、一瞬にして敦盛に皆が駆け寄る。
「どこにいたんです?」
「みんな、心配していたんだよ〜〜」
「とにかく、腹は空いてないのか?」
素早く携帯でどこかに連絡する弁慶。
「ああ、もしもし。戻って来てください。ええ、そうです…。望美さんが」
なぜかリズヴァーンもどこかにメールをしているのだった。
「……、送信…」
敦盛は、景時と譲がカウンター席に連れて行き、
とりあえず何か温かい飲み物を、とりあえず何か簡単に食べる物を、と2人はキッチンに消える。
そんな様子を見ながら、安堵した朔が望美に尋ねる。
「どこで敦盛殿を?」
「うん、実はね、ちょっとだけ心当たりのある場所があって」
「白龍の神子と八葉の絆、なのでしょうか?」
「う〜〜ん、残念ながら違うと思いますよ、弁慶さん」
「それは残念。僕に何かあっても望美さんが見つけてくれるのなら、うれしいな」
「あはは……」
「で? その心当たりの場所とは何処なのだ、望美」
「七里ヶ浜」
「七里ヶ浜?」
「そ」
「何で、七里ヶ浜なの?」
「何で、七里ヶ浜なんだ?」
「何で、七里ヶ浜なのでしょう?」
「……知盛……か」
「はい、先生」
「ああ、そういう事なのね」
「そうでしたか」
「何だ? どういう事だ?」
「以前、景時さんがどっかに行っちゃった時も、知盛が現世界に最初に現れたのも、
いつも七里ヶ浜だったから」
「そう言えば」
「そうですね」
「知盛も七里ヶ浜で拾ったんですか?」
「そだよ」
「もうこれでおしまいにして下さいね、先輩」
「どういうこと?」
「知盛以上変なモノを拾ってこられると、困るじゃないですか」
「ま、敦盛君は別、ですけどね」
「ほお……、オレは…変なモノ……なのか……ククク」
「知盛!」
「…大夫殿の……御帰還と、聞きつけてな……」
その時、入り口の扉がけたたましく開き
「敦盛! 見つかったって!!」
「望美! ナイス!!」
ヒノエと将臣が飛びこんできた。
「敦盛!」
「ヒ、ヒノエ…」
「お前h」
「ところでヒノエ、今回の騒動の発端はどういう経緯からなのか、キッチリと、説明してもらえるのでしょうね」
「え? そ、それは…」
「知盛殿でも構いませんが、いかがでしょうか?」
「あはは、朔、目が笑ってないよ」
「……さあな…」
後退る2人に、望美の一喝が飛ぶ
「こら! 逃げるな!」
「ヒノエ、もうマル48時間探してるんだけど、さっぱりだ」
「何を?」
「何をって、あっくんに決まってるじゃん!
知りあい頼んで総動員で探してるんだけどさ。横浜を中心に、川崎から磯子、逗子辺りまで。
何なら、もう少し人数増やして都内をs」
「ああ、ヒロクン。敦紀なら、昨日見つかったんだ」
「ああ、見つかったんd………ええ!! どういう事だよ!! それならそれで連絡しろよ!!」
「悪い、忘れてた。じゃ」
「『じゃ』じゃないだろう! おい! もしも〜〜し! 切るな〜!!」
「私、まだまだ何か拾っちゃいそうな気がする……」
「え〜〜? の、望美ちゃぁ〜〜ん!!」
「え! 望美、ダメよ!」
「え! 先輩!! やめてください!」