知盛おれ……、拾えよ  











  「いいか、これが歯ブラシ」


  「ああ……、そうだな」


  「え? 『そうだな』って、何で知盛おまえが歯ブラシなんか知ってるんだ?」


  「還内府殿が、……異世界むこうでも、使って……いたのでな……。ククク」


  「へぇ、兄さんが……。ま、話が早くて助かる。で、こっちが歯磨き粉」


  「ほお……、塩……ではないのか。…これはお初に……お目にかかる」


  「それはそうだろうな。で、こうやってキャップを取って、この位を歯ブラシに、こうして」


  「…ほう、……それで…磨くのか」


  「ああ、そうだ」


  「ほう、……また、泡をたてるのか……。ククク」


  「何で笑うんだよ?」


  「こっちの世界の方々は……、…泡を……ブクブクとたてるのが……お好きなのだな」


  「で、こうして水を含んで、吐き出す。飲み込むなよ」


  「……何故…?」


  「飲みたきゃ、飲んでもかまわないさ。一応、俺は止めたからな。
   いいか、お前は健康保険が無いんだからな。虫歯になったら大変なんだぞ」


  「虫……歯……?」


  「そうだ。だから、朝起きたらすぐにと、夜寝る前と、あと毎食後に、必ず歯みがきするんだぞ」


  「面倒だな……」


  「何と言おうと、これは絶対に守ってもらうからな」


  「……やれやれ」


  「コップはこれを使ってくれ」


  「有川弟……」


  「何だよ」


  「……辛い」


  「だから! 舐めるな、食べるな! 飲み込むな!」


  「……難しいな……(ガシガシガシ)」







そういって毎日5回以上、律儀に歯みがきをする知盛であった。







  「芸能人は……歯が命……。……ククク、総大将殿でも……あるまいにな……」











10/04/09 UP

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