知盛……、拾えよ 3
「いいか、これが歯ブラシ」
「ああ……、そうだな」
「え? 『そうだな』って、何で知盛が歯ブラシなんか知ってるんだ?」
「還内府殿が、……異世界でも、使って……いたのでな……。ククク」
「へぇ、兄さんが……。ま、話が早くて助かる。で、こっちが歯磨き粉」
「ほお……、塩……ではないのか。…これはお初に……お目にかかる」
「それはそうだろうな。で、こうやってキャップを取って、この位を歯ブラシに、こうして」
「…ほう、……それで…磨くのか」
「ああ、そうだ」
「ほう、……また、泡をたてるのか……。ククク」
「何で笑うんだよ?」
「こっちの世界の方々は……、…泡を……ブクブクとたてるのが……お好きなのだな」
「で、こうして水を含んで、吐き出す。飲み込むなよ」
「……何故…?」
「飲みたきゃ、飲んでもかまわないさ。一応、俺は止めたからな。
いいか、お前は健康保険が無いんだからな。虫歯になったら大変なんだぞ」
「虫……歯……?」
「そうだ。だから、朝起きたらすぐにと、夜寝る前と、あと毎食後に、必ず歯みがきするんだぞ」
「面倒だな……」
「何と言おうと、これは絶対に守ってもらうからな」
「……やれやれ」
「コップはこれを使ってくれ」
「有川弟……」
「何だよ」
「……辛い」
「だから! 舐めるな、食べるな! 飲み込むな!」
「……難しいな……(ガシガシガシ)」
そういって毎日5回以上、律儀に歯みがきをする知盛であった。
「芸能人は……歯が命……。……ククク、総大将殿でも……あるまいにな……」
10/04/09 UP