帰らないの? 敦盛さんルート・7月 あっくんかまい隊・T
遡夜様リクエスト「現代バージョンシリーズの、ヒノエ×敦盛で学生設定」と言うことですが、
若干違うような気もしますが、どうでしょう???
やろうかどうか迷っていたシリーズなんですが、OKサインが出たと勝手に解釈してスタートいたします!!
Tではまだ、ヒノエは出てきませんが、今後のヒノ敦を決定づける重要なシリーズです!!
梅雨の晴れ間だからだろうか。
人々が、この晴れ間を慈しむように、いつにも増して街に繰り出している。
電車も恐ろしい程の人の数で、冷房というものがあっても機能していないかのようだ。
私も、前から行きたかった横浜能楽堂に、この晴れ間を利用して向かっているのだから
他の人のことをとやかくは言えぬのだが……。
嗚呼、何故このような時に出てきてしまったのだろう。
それ以上に、わずか数駅を歩かずに電車を使ってしまった己が怠惰を叱咤せねば……。
私とて武門の子であるはずなのに。
兄上……
気分が悪い……
頭が痛い……
ま、まさか変生……い、いや、そのようなことは……
しかし意識が遠のいてしまうと、どうなるか……
ヒノエ…
「君!? 確か、あつのり君、だったよね」
約束していた時間はとっくに過ぎているのに、何で彼女、来ないんだろう。
本田晃久は十数度目になるだろう、腕時計に目をやった。
この前の弘行とヒノエがセッティングした合コンは派手だったな。
その中では意外とおとなしかったけど意気投合したのが、今日会う約束にこぎつけた彼女。
何と言っても他の娘と違って、医学部に合格した努力家だからな、彼女は。
眼鏡姿も可愛いけど、今日は彼女にコンタクトを作ってあげよう。
名古屋の方から横浜に来てまだ四ヶ月にもならない彼女は、
親戚の叔母さんの家に下宿してると言っていた。
大学が忙しくて、東京どころか横浜もまだロクに歩いたことがないとも言っていたから
元町か赤煉瓦でもあるいて、そのあと中華街で食事をして……
それにしても遅いな……、メールでも…
あれ? 今、前を横切って行ったのは確かヒノエの……! え!?
今、あの子、ふらつかなかったか…?
思わず本田晃久は、まだ来ない彼女との待ち合わせも忘れて、敦盛の後をついて行った。
それでも物陰から敦盛の様子を窺う晃久は、
オレ、何で物陰にかくれてるんだ?
と一瞬思うのだが、その次の瞬間に
あ、あの子絶対、気分が悪い。
まちがいない。母さんの時と同じで、熱さ負けか湿度負けしてるんだ。
あんなに足下がふらついているし、顔色も悪い。
周りの何人かも気が付いて様子を窺っているみたいだけど、誰も助けてやらないのか?
! そうだ、ヒノエ、ヒノエは、いないのか!? あいつらしくもない……。
あ! そうか。あいつ確か、金曜からニューヨークに行くって言ってたな。
代返、千賀達に頼んでたからな。! それじゃ今1人か、あの子!?
誰か他に連れは……、居ないようだな…
あ!!
よろける敦盛を視て、思わず晃久は駆け寄り、声をかけてしまう。
「君!? 確かあつのり君、だったよね」
「え? あ、あの……あなたは…」
「ほら、君が以前、慶桜に来た時ヒノエと一緒だった本田だよ」
「ほ、ほんだ……殿?」
「覚えてないかな?」
「……、…済まない」
「え! そ、そう……、覚えて…(初めてだ、そんな事言われたの! ショックだ…)
あ、それよりどこか、涼しいところに座ろう。
それと水分も摂らないと。このままじゃ、君、倒れてしまうよ」
「い、いや……、あなたに御迷惑を
(ああ、まずい、意識が……霞む。頼む! 変生だけは…)」
「おい! 君!!」
「どう? 少しは落ちついた?」
コーヒーフロートのアイスクリームをストローでかき回しながら本田晃久は、向かいの席で
背もたれに身を預け、首筋に濡れたハンカチを当てながら、はにかむ『平敦紀』を見つめた。
敦盛は、目の前のテーブルで所在なく溶けかかった抹茶パフェをぼんやり眺めながら
「ああ、すまない。あなたのお手を煩わせてしまって」
と片手を胸に当て、微笑んだ。
晃久はその笑顔に思わず顔が赤くなるのを感じた。
オイオイ相手は男だぞ、と心の中で自分を諫めながら
「気にしないでいいから」
と平静を装って答える。
「し、しかし、あなたも何か用事があったのではないのだろうか」
「え? あ!」
腕時計に眼をやり、一瞬だけ腰を浮かしかけたが、
次の瞬間に落胆の表情を浮かべ、それを振り払うように殊更明るく
「いや、特に用事って程のことは無いから、気にしないでくれ」
「そ、そうなの、だろうか?」
「それより君の方こそ、さっきはどうしたの?
1人で何処に出掛けるところだったんだい?」
「え、ああ、横浜能楽堂へ。このように蒸し暑い天候の人混みは苦手だったのだが…
私の怠慢ゆえのことだ。声をかけて頂いて申し訳ない。慣れていらっしゃるのだな……」
「え? な、何に? オレは弘行やヒノエほどにはナンp」
ナンパは彼らほどにはしたことがないと言おうとした晃久だったが
「体調の悪い人間の手当。介護、と言うのだろうか?
おかげで気分がだいぶ楽になった。
私など、自分の事なのに、どうして良いのか分からずにいたのに…」
「ああ、そっちの方」
「そっちとは?」
「いやいや、コホン、こっちの話」
「こっち? ……ダメだな、私など……自分の身の処し方も分かっていない」
「あまり、自分をダメだなんて思わない方が良いよ」
「ほんだ殿?」
「オレがこういう介護に慣れてるとしたら、オレの母さんも熱中症とか人混み酔いとかに、しょっちゅうなる人だから、かな」
「御母上が……。そうなのか、それで介抱に慣れていらっしゃるのだな」
「『いらっしゃる』って程、偉そうなものではないけどね」
俯く敦盛の様子に晃久は気づき
「あれ? …どうかした? あつのり君?」
「あ、いや…。すまない。少し、昔のことを思い出して」
「昔のこと?」
「私は…、母上の看病などという孝行は何一つして差し上げられなかった…
それどころか病弱だった私は、いつも母上に心配をおかけしてばかりだったので」
「『だった』って言うことは……」
敦盛はコクンと頷き、
「まだ、私が幼い頃……」
後は俯いた姿が、その言葉の続きを雄弁に説明していた。
晃久は、その敦盛の姿を可愛いと思ってしまい、
だからこの子は男なんだって!!
と何度目かになる諫めを、自分に言い聞かせていた。
わ、話題を変えよう。そう思い、晃久は慌てて
「あ! でも、ほら、他の家族が」
「いや……。ヒノエは何も言っていないのだろうか?」
「ヒノエが? いや、何も」
「そうか…」
「何?」
「え、ああ。別に秘密にする事でもないだろうから……。
私は親兄弟といった血縁が、こちらにはいない身なので」
うわ! 逆効果だっ!
悲しそうな瞳に、晃久は妙にドギマギしながら、やっと言葉を口から出す。
「え? え? じゃ、じゃぁ…、き、君、一人暮らしなのかい?」
「いや、今はヒノエと『るぅむしぇあ』というものを…、
いや、そう他人に聞かれたら言えとヒノエは言っているのだが、
はっきり言えば、ヒノエに厄介になっているだけの身なのだ」
「え? 君、ヒノエと二人で暮らしているのかい?」
「ああ。ヒノエとは幼い頃からの知りあいで。
それだけの理由でヒノエは私の分まで生活費を負担してくれて」
「そうなんだ……」
この空気の重さを何とかしたいと思う晃久だったが、大輔のようにバカ話を思いつけず
ヒノエのように相手を持ち上げるような事も、浩太朗や弘行ほどにも話題の無い自分に気付く。
「で、でも、ほら、ヒノエの家も金持ちそうだから、気にしなくてもいいんじゃないのか」
「それは……」
「何?」
「晃久殿は御存知無いのか。ヒノエとて、私同様の身の上なのだ」
「え?? でも、あいつ…そんな事……。
じゃあ、生活費とか学費とか、どうしてるんだい?」
「それは、ヒノエが『ねっととれど』というもので」
「あいつ…。 …そうなんだ」
そんなこと、一言も聞いたこと無いぞ。ヒノエって、そんな苦労人なんだ。
しかもこの子の分の生活費も!? 慶桜だって学費は安くは無いんだろうに。
え? でも、この前のコンパの費用は?
あれ? 今、あいつニューヨークだよな? その金も???
ネットトレードってそんなに稼げるものなのか?
オレ、バイトもやったこと無いから、さっぱり分からない
敦盛とヒノエの境遇を初めて知り、目の前でパフェを口に運ぶ敦盛を見つめて
この子を放ってはおけない、そう思う晃久だった。
その時おもむろに敦盛が
「何か今日の礼をさせて頂けないだろうか?」
「いいよ、別にそんなつもりじゃないし」
「それでは申し訳が…」
そうだな、何かこのまま会えなくなるのも寂しいしな……
これは何かの縁なんだ。縁は大切にしないとな
と多少自分でも言い訳めいているようで顔が紅くなるのが分かる。そこで晃久は唐突に
「そうだ、あつのり君って、抹茶パフェとか甘い物、好き?」
「え? パ、パフェ……、あ、ああ」
「良かった。じゃあ、さ。今日じゃなくていいんだ。君の予定が開いている日に
ちょっと、付き合って欲しい所があるんだけど」
「え?」
今日の自分を救ってくれたのは、間違いなく目の前の本田晃久なのだし、
ヒノエの友人であることも間違いなさそうだ。
その上、悪い人では無い。
断る理由は一つも思い浮かばない上に、お礼をと言いだしたのはそもそも自分なのだ。
そう思い、逡巡すること自体に罪悪感を覚えた敦盛は、尋ねる。
「どこに、なのだろうか?」
「実はね、ちょっと」
と晃久は急に身を乗り出し、さも重大な事を打ち明ける、と言った仕草で敦盛を手招きする。
つられて敦盛も、身を乗り出すと、晃久は小声で
「実はね、カレット汐留にある『茶寮 都瑠里』ってお店に行きたいんだけど
一緒に行ってくれないかな」
「『かれっとしおどめ』? 『さりょうつるり』?
そ、それはいったいどのような店なのだろうか?」
「君を甘い物好きと見込んでのお願いなんだ」
「み、見込まれた、…のだろうか…!?」
「そう。実は『茶寮 都瑠里』のほうじ茶ソフトクリームが食べたいんだけどさ、
いつ行っても女の子が列作ってるから、一人でそこに並ぶっていうのは勇気がいるんだ」
「そうなのか」
「そこで君が付き合ってくれればオレも助かるんだ。ただとは言わない。パフェ、奢るから」
「い、いや…」
「都瑠里は京都でも屈指の甘味の有名店でね。その東京進出1号店なんだ。
だからさ、前から一度行ってみたかったんだよ。
それに元々『都瑠里』は宇治茶の老舗茶舗だから、抹茶やほうじ茶のアイス、
絶対美味しいと思うんだよ」
「抹茶パフェというと」
敦盛は、目の前のテーブルで溶けかかったそれを見る。
「そう。でも、その何倍も美味しいんじゃないかな、たぶん」
「な、何倍も……」
「軽い熱射病だっただろうから冷たい物でも摂った方が良いと思って、この店に入ったんだ。
で、あのへろへろの状態でも、君は『抹茶パフェ』と言ったからね。
その時点で絶対に甘い物好きに違いないって確信したんだ。どう?」
「ど、どうと言われても……。他の御学友の方々と…」
「御学友って……。君も知ってるだろう、ほら以前、大学に来た時会ったオレの友達連中、
あいつらは、男同士で甘い物って感じじゃないしね」
「そうなのか…。! ならば彼女殿を連れて行かれたら喜ばれるのでは…」
「………」
「? ど、どうしたのだろうか?」
「連れて行くような彼女がいたら、とっくに行ってるって」
「え? そ、そうなのか? すまない…
あなた程の方に彼女殿がいないとは思えなかったもので。
あなたのような優しい方に好かれる女性は幸せだなと思ったものだから」
と、敦盛は優しい笑顔で晃久を見返す。
「あつのり君…」
この子、ほんといい子なんだな。
オレ、何、顔が紅くなってるんだ? だから相手は男だって。
しかもあのヒノエの友達の…
「私などで良ければ」
「約束だからね。それに君とヒノエの事ももう少し聞きたいし」
「え? そ、それは」
「あいつは、自分が苦労してるなんて、これっぽっちも言う奴じゃないからね。
詳しい事情を知っておけば、何かヒノエや君の力になれるかも知れないじゃないか。
ま、ほうじ茶ソフトを食べたいって事の方が優先順位的には上で申し訳ないけどね」
「いや、その位の方が気が楽で……」
「OKだね。じゃ、都合の良い時を知らせてくれ。携帯、持ってるかい」
「ああ、ここに」
「君によく似合っている色だね」
「そうだろうか? これはヒノエが選んでくれたモノなのだが」
「そう、ヒノエが」
どことなく不愉快な気分がする自分に驚いて、その気持ちは押し隠し
「い、良い趣味だね。じゃあ、オレの番号を登録しておいてくれ」
「あ、あの…」
「え?」
「わ、私は携帯の操作に不慣れで」
「そうなの? じゃ、ちょっと貸してもらっていいかい?」
「え? ああ」
と敦盛は携帯を晃久に渡す。
「ここをこうして、赤外線で」
と説明しながら、自分のプロフィールを敦盛の携帯に登録させる。
と、同時に敦盛のプロフィールも自分の携帯に、赤外線で送ろうとして
「ああ、『あつのり』って、この『敦紀』を書くんだ。
そうだ、君のプロフィールも赤外線で貰っていいかい?
そうすれば、こちらからも電話やメールで連絡できるから」
僅かボタン操作1、2回で、自分のプロフィール・データが転送されるなど
思ってもいなかった敦盛だったが、それは困るとも言えず、ただ頷くだけだった。
ヒノエがこのことを知ったら、どういう顔をするのだろう
そう思うと、ちょっとだけ愉快な敦盛だった。
「じゃ、悪いけど、オレの分もヒノエと一緒に頼む」 (晃久)
「へぇ、晃久が代返頼むなんて珍しいじゃん。ま、1人も2人も同じだから良いよ」
「お礼は後で」 (晃久)
「お、晃、何処行くんだよ。代返ならオレが」 (弘行)
「出たな! 仲良し陽稚舎組」
「おい晃! オレじゃ信用できなくて、チカならいいのかよ!」 (弘行)
盛田弘行は、教室を慌てて出て行く晃久を眺めた。
「あれは、『女』ね」
「え? でも、この間、横市の医学部の娘に振られたって話じゃん」 (弘行)
「え! 嘘!? 晃久が、すっぽかしたって別の女と会ってたって話よ
その娘、二人一緒のところを見たって言って泣いてるって話だし。
何か凄い綺麗な子だったんだって」
「あの晃が女の子をすっぽかすぅ! まして二股ぁ!! それこそ有り得ないって」 (弘行)
「そうよね、あんたや大輔じゃあるまいし」
「俺、弘行と一緒?」 (大輔)
「大輔、弘行とどこか違うの?」
「ここまでいい加減じゃないって!」 (弘行)
「こいつほど軽くは無いって!」 (大輔)
盛田弘行と松下大輔は頭のコブをさすりながら言った。
「暴力反対!」 (大輔)
「どこからの情報だよ?」 (弘行)
千賀は自分の拳をさすりながら答えた。
「秘密。それにしても、中身のない頭って硬いのね」
「じゃぁ、今日はどうして『女』だって分かるんだ? それもどこかの情報なのか?」 (浩太朗)
「あんたら、ナンパな癖に、人を見る目、からっきしだからね」
「だから、いっつも長続きしないんじゃないの」
「何だよ、春香ちゃんまで」 (大輔)
「ま、その方が相手の娘にとっては幸せよね」
「何で!」 (大輔)
「分からないの?」
「さっぱり」 (大輔)
「だからダメなんじゃない」
「晃久っていつもはポロシャツにチノばっかじゃん。
なのに今日の服装って、カジュアルなカットソーに麻のジャケット」
「しっかも、ビンテージ物のジーンズ履いてた」
「仲良し陽稚舎組の中では一番の堅物で、いい感じなのにね」
「それで、ついに晃に本命出現! って感じたと」 (弘行)
「よく見てるな」 (浩太朗)
「あんたらが、女の顔しか見てないんじゃないの!」
「あと胸とお尻〜! キャァー! 変態がここに3個もいますよぉ〜!!」
「お前らな、『個』っていうな! 『人』で数えろよ」 (大輔)
「もう、いいから! 大輔、浩太朗も行くぞ!」 (弘行)
「ああ」 (浩太朗)
「OK!」 (大輔)
「ちょっとちょっと、授業は!」
「代返、よろしく」 (弘行)
「そぉ言うこと」 (大輔)
「じゃ」 (浩太朗)
「『じゃ』じゃない!」
「え!! あたしが?? 5人分はヤバイって!!
春香、大輔と浩太朗の分は、受け持ってね」
「私が? マジで!? 」
「弘行、あとでちゃんと報告しなさいよ!!」
「晃久、完璧に舞い上がってるンじゃん」 (大輔)
「ああ、大江戸線の同じ車両に俺達がいても気付かないんだからな」 (弘行)
「東横線を中目黒で乗り換えて、麻布十番で大江戸線……」 (浩太朗)
「どこ行くんだろうな?」 (大輔)
「ありゃあチカじゃないけど、完全に『女』、かな?」 (弘行)
「いよいよ、晃久に本当の春が来たのか」 (浩太朗)
「……だと良いんだけど」 (弘行)
「何だよ弘行、意味深だな」 (浩太朗)
「今まで晃久、いろんな女の子と付き合ってたけどさ、
どの子とも本気って感じじゃ無かったもんな」 (大輔)
「お前にそう言われる晃が可哀想」 (弘行)
「汐留で降りた!」 (大輔)
「大輔、お前人の話聞いてないな」 (浩太朗)
「分かってる分かってる」 (弘行)
「なあ弘行、何で俺達いちいち隠れなきゃならないんだ?」 (浩太朗)
「気分」 (弘行)
「意味分かんねぇ」 (浩太朗)
「カレットに入ってく」 (大輔)
「カレット汐留で待ち合わせ? 高校生かよ」 (浩太朗)
「いいじゃん? 健全なデートってことで」 (弘行)
「おい、あれ!」 (大輔)
「え? あ! あれって」 (浩太朗)
約束の時間まであと5分くらいか……そういえば敦紀君、ここの場所分かってるのかな?
そこに綺麗な女性に連れられた敦盛がやって来る。
「ここが茶寮 都瑠里よ。お友達はもう見えてるのかしら?」
「さぁ……! いらして……ほんだ殿」
「まあ、男の人と待ち合わせだったの?」
待っていた晃久と、この女性はぎこちなく会釈しあう。
「可愛い彼女がお出迎えかなって、勝手に思っていただけ」
「どうも、お手数を」
「どういたしまして。ハイ、これ」
「…? これは?」
「私の名刺。また、汐留に来ることがあったら連絡して頂戴。今度は一人の時が良いわ」
「そ、それは」
「フフフ、じゃ、ごゆっくり」
と去っていく女性を見送る敦盛に、駆け寄る晃久。
「誰? 今の綺麗なお姉さん?」
「あ、私が汐留の駅で構内図というものを眺めていたら」
「ここまで案内してくれたんだ」
晃久は敦盛の持っていた名刺を眺め、
「『日ノ本テレビ メディア事業局 国際部 城之上美穂』さん…、か。
逆ナンだったりして」
「『ぎゃくなん』とは?」
「冗談冗談。君にそんなこと通用しないって。さ、それより並ばないと」
「え? ああ、そうだな。確かにこの時間でこんなに列が出来ているのか。すごいのだな」
「だろう」
晃久と敦盛が列の最後尾に着くと、都瑠里に並んでいたほとんどの女性が、ざわめいた。
「綺麗」
(ホントにね)
「女の子? 男の子?」
(男なんだよなぁ)
「隣の背の高い人、カッコイイ」
(それは、どうも)
晃久は慣れてはいるが、それでも敦紀と二人でいると思うと、何やら得意げな気分だった。
「さて、何にしようか。敦紀君も遠慮しないで好きな物を頼んでほしいな」
「『あつのり君』だって」
(そうだよ)
「やっぱり男の子なんだ、嘘みたい」
(だよね)
「さすが東京…」
(彼が住んでるのは横浜だけどね)
「写メってもいいのかな」
(……それはちょっと)
「今日、カレットに来てラッキー!」
(それは、よかった)
「ねえねえ、後で一緒に写真撮ってって言おうよ」
(本気?)
「え〜、あんた言ってよ」
(やけに積極的だな)
「男同士…! キャ〜」
(べ、別に深い意味は……)
「ありだと思うわ私、後ろの2人なら」
(何が!?)
一瞬にして列が膨らむ。
「ありよね」
(だから何がだよ!)
「あり、あり」
(まったく)
「ああ、俺もありだと思う」 (弘行)
(え?)
「え?」
「な、大輔」 (弘行)
(は?)
「ありあり、ねえねえ君達、どこから来たの?」 (大輔)
(相変わらずな奴だな)
「大輔、分かってないな〜」 (浩太朗)
(まったくだ)
晃久が列の後ろに気付く
「弘行! 大輔、浩太朗まで! どうしt」
「や、偶然、偶然。な」 (浩太朗)
(そんな訳あるか!)
「ああ、カレットでパフェ食べようって来たら晃いるじゃん。
声かけようと思ったら、綺麗なお姉さん引率で来るのは」 (弘行)
(お前らが男同士でパフェだって?)
「ヒノエのお友達の『あつのり』君じゃん!」 (大輔)
(待ち合わせから見てたのか)
「奇遇奇遇」 (浩太朗)
(どこがだ)
「お前ら…、しらじらしいな!!」
何となく慶桜に敦紀君が来た時の、ヒノエの気持ちが分かる晃久であった。
後半の慶桜生4人組の会話あたりから、ちょっとお遊びが入っています。(特に、都瑠里に並び始めたあたりから)
気になる神子様はぜひスクロールしてみてくださいませ!!(笑) 2009.5.19運命上書き 紗良