あっくんのお食事・8
「え!? これ…」
将臣は絶句した。
「知盛殿にこのような才能があるなんて…、素晴らしいわ」
覗きこんだ朔は感動して言った。
「兄さんの盛りつけたのと同じ料理だとは、とても思えないな」
「譲…、作ったのはお前だ」
「だから尚更だろう。
どうせなら、綺麗に盛りつけてもらった方が、作る側も食べる側も嬉しいじゃないか」
「そうね……。そうだわ、譲殿の言うとおりだわ」
「ああ、そういえば…」
「どうした? 敦盛?」
「どこか懐かしい盛り付けだと思ったのだが……、そう、これは、
あちらの世界の六波羅の京屋敷で、このように盛りつけられていたような…」
「貴族の食事……。なるほどな、貴族のお坊ちゃんだったな」
「見よう見まね……だ。ククク……義兄上も福原で……、召し上がっていたのでは…?」
「こんな盛り付けじゃ、食った気がしなかったからな。
自分で勝手に厨房に行って、好き勝手に飯を盛っていた…」
「賄い方が大騒ぎ……、だったな…ククク」
「知盛殿、こちらへ来てはいただけませんか?」
「朔? どうしたんだ?」
朔は何か閃いたようで、キッチンに知盛を連れて行き
「このケーキをイート・インのお客様用に、デセールしてみてはいただけませんか?」
「オレに頼み事……か? 恐れを知らぬ……黒龍の神子殿だ…」
「お願い、できませんか?」
後から付いてきた譲が言葉を添える
「知盛、俺からも頼むから、朔に見せてやってくれないか」
「譲殿♪」
「ククク、オレへの頼み事は……、高くつく…」
「そんなヒノエ殿のような……」
「……『いいといん』と『でせぇる』……とは?」
「持ち帰らず、この店で食べるのが『イート・イン』、
お客に出す用にデザートを皿に盛り合わせるのが『デセール』」
「ほお…、要は…このケーキという食い物を……適当に盛り合わせろ、と?」
「それに、ここにあるクリームやケーキソースを自由に使ってみてください」
「黒龍の神子殿も……、無茶なご注文をなさる…」
「ご、ごめんなさい…、でも……」
「ククク、ご要望に……お応えできるよう、努めてみよう」
「知盛殿」
そして数分の後、
知盛が盛りつけた、見るも華やかにして美しい『朔のケーキ・盛り合わせ』、
正しくは、『アソルティマン・ド・パティスリー』が、2人の前に厳かに置かれたのだった。
08/08/18 UP