母 帰る 1
「〜って言うことで、来週日曜の昼頃にゃ成田に着くとさ」
「『着くとさ』じゃないだろう、兄さん! どうするんだよ! あと6日しか無いじゃないか!!」
「どうするって言ったって、帰ってくるなとも言えないだろう」
「そりゃそうだけど…」
「母上様の……御帰還か? ククク」
「笑いごとじゃ無ぇんだぜ、知盛」
「そうだ。とりあえず、知盛をどこかに隠さなくっちゃ」
「是非とも……有川の母上様に…、御挨拶を」
「何て挨拶するんだよ?」
「初めまして……、義母上様…」
「いきなり『母上』はやめろ、な。母さんもびっくりするだろうぜ」
「冗談じゃない! 母さんを驚かしてどうするつもりだ!」
「では……、どう…しろと?」
「蔵か温室に隠れてるっていうのは?」
「この季節に温室ってのはなぁ? だいいち温室なんて、庭に出たら丸見えだ。それこそ不審者だな。やっぱり蔵か…」
「面倒だな……」
「贅沢言うなよ」
「我慢しろ。暗くて、静かだ。布団を敷いておいてやるから、心おきなく思う存分めいっぱい寝てろ」
「俺は…黴か……」
「パラサイト具合は、良い勝負だな」