母 帰る 4
「『僕のところに』って、結局は同じマンションじゃないのかよ」
「そうですが、違います」
「弁慶、言ってる意味、分からねぇぜ」
「九郎に『頼む』などど言った日には、それこそどうなることか……
あらぬ方向に向かって妙に張り切り、『オレが責任を持って世話をせねば』などと、絶対言い出しますからね」
「まあ…、な……」
「だから、九郎と同居するという事と、僕と同居するのとでは、まったく知盛への処遇が変わる、と言うことですよ」
「ま、よく分かんねぇけど、OK。引き取ってくれるなら助かる」
「将臣君…、何でもいいんですね」
「母さんが親父のところに戻る間だけだから」
「ええ、そうしてください。それ以上は、まぁ、知盛の方が嫌がるでしょうけど」
「な、何、する気だ?」
「嫌だな。別に、何かしようなんて気、さらさらありませんから。御心配には及びませんよ、フフフ」
「その『フフフ』が妙に引っ掛かるけど……、OK!
いいだろう。こっちも贅沢言ってられる状況じゃ無ぇしな。よろしく頼む」
その日の夕刻、捨て犬の貰い手が見つかったかのように
知盛は、弁慶のマンションに引き取られて行った。
「あいしゃるりたぁん……兄上…、ククク」