母 帰る  











  「『僕のところに』って、結局は同じマンションじゃないのかよ」



  「そうですが、違います」



  「弁慶、言ってる意味、分からねぇぜ」



  「九郎に『頼む』などど言った日には、それこそどうなることか……

   あらぬ方向に向かって妙に張り切り、『オレが責任を持って世話をせねば』などと、絶対言い出しますからね」



  「まあ…、な……」


  「だから、九郎と同居するという事と、僕と同居するのとでは、まったく知盛かれへの処遇が変わる、と言うことですよ」



  「ま、よく分かんねぇけど、OK。引き取ってくれるなら助かる」



  「将臣君…、何でもいいんですね」



  「母さんが親父のところむこうに戻る間だけだから」



  「ええ、そうしてください。それ以上は、まぁ、知盛かれの方が嫌がるでしょうけど」



  「な、何、する気だ?」



  「嫌だな。別に、何かしようなんて気、さらさらありませんから。御心配には及びませんよ、フフフ」



  「その『フフフ』が妙に引っ掛かるけど……、OK!

   いいだろう。こっちも贅沢言ってられる状況じゃ無ぇしな。よろしく頼む」







その日の夕刻、捨て犬の貰い手が見つかったかのように

知盛は、弁慶のマンションに引き取られて行った。





  「あいしゃるりたぁん……兄上…、ククク」











08/12/09 UP
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