母 帰る  13 >











  「あ〜、疲れた」



  「当たり前だよ、真っ直ぐ横浜までのリムジンに乗ればいいものを

   母さん、何でスカイライナーだったんだ?」



  「しかも新宿で降りちまって。
   スーツケース引きずって、ついて回る子供こっちの事も少しは考えて欲しいもんだぜ」


  「大きな図体して何言ってるの? いいじゃない、1年3ヶ月ひさしぶりの日本なんだから」



  「いったいいつまで、あっちにいる予定なんだ?」



  「譲……」



  「何?」



  「寂しいの? なんだったら今晩一緒に寝てあげようか?」



  「やめてくれよ、母さん」



  「ホホホ、そうよねぇ、将臣を差し置いて彼女が出来たんですものねぇ」


  「か、か、母さん! ど、どうしてそんな事を知ってるんだ? 兄さん!」



  「俺じゃ無ぇよ!!」



  「兄さん以外に誰が……、あ!?」



  「そう、望美ちゃんがね、手紙で時々、近況を知らせてくれてたのよ」



  「先輩が……!」

  「望美が……!」



  「それに較べて、やっぱりダメねぇ、男は…。

   赤の他人の望美ちゃんが手紙だ、電話だってしてくれるのに」



  「電話もしてんのかよ! 望美…」

  「先輩が…国際電話…」



  「そうよ。あ〜あ、それなのにウチの子達は冷たいわよね〜 親より彼女、か」



  「そ、そんなんじゃ…」


  「じゃ、私がこっちにいるうちに連れてらっしゃいよ」



  「え!? い、いや…、だって朔には仕事が」



  「知ってるわよ。七里ヶ浜にオープンしたカフェレストランのパティシエさんなんでしょう」



  「先輩、そんなに詳しく…」



  「ぐずぐずしてると、私1人でお店に行ってくるわよ」



  「そ、それは…」



  「『初めまして。譲の母です』って」



  「母さん、それだけは止めてくれ」



  「面白れぇ展開だな。譲」



  「兄さん! あの店には知盛もいるんだからな」



  「! やっべぇ〜」


  「『初めまして……、義母上ははうえ様…』なんて事になったらどうするんだ、兄さん?」











09/03/11 UP
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