譲君と遊ぼう1







  「有川」



  「名前で呼んでください。どうもオレが呼ばれているようで、反応する自分が嫌になる」



  「では『譲君』とでも?」



  「矢、いつでも射ることできますからね。オレは」



  「そうか、一手、手合わせ願えるのか。ククク、楽しみなことだ」



  「言っておきますけど、こっちの世界では武器の所持は許されませんからね」



  「源氏の総大将殿は、いつも抜刀なされるが」



  「あれは……、オレ達も九郎さんがどこに刀を隠し持ってるのか、分からないんですよ」



  「バレなければいい、ということか」



  「バレなくても絶対にダメですからね! 持ってるだけで銃刀法違反です!!」



  「つまらない世界だ」



  「何とかに刃物って言葉もありますからね。

   そんなに暴れたいなら、合法的に暴れられる格闘技でもやったらどうですか!?」



  「面倒だな……」



  「内容も聞かないうちから、どうして『面倒』なんて言うんですか!」



  「お前が薦める『合法的』とやらには、血の臭いが感じられない」



  「お前ら、いったいいつの間に、そんなにも会話の弾む仲になったんだ?」



  「兄さん、この状況のどこをどう切り取ったら『会話が弾む』って言うんだ?」


  「還内府殿あにうえ



  「知盛! その呼び方は止めろって」



  「『有川』は有川弟に禁止されたばかりだ」



  「! 譲、どうしてそんな面倒なことしたんだよ!」



  「『有川』じゃ、兄さんか俺か判らないだろ」



  「『有川弟』と、ちゃんと区別しているつもりだが……ククク」



  「馬鹿にしてるだろ! 俺には『譲』って名前が」



  「だから『譲君♪』ではダメかと聞いたはずだが?」



  「ぜったい馬鹿にしてる!!!」



  「知盛、お前な、譲からかうのも、たいがいにしておけよ。そのうち本気で矢を射かけられるぜ」



  「ククク、本当にお前達兄弟は飽きないな。『有川弟』は重衡実の弟より、ずっと面白い」



  「どういう意味だよ」



  「からかい甲斐があるってことじゃねぇか…、たぶん、な」


  「還内府殿あにうえもそう思っていらっしゃるククク」



  「二人とも! 今晩は飯抜き!!」



  「また、兵糧攻めか……、お前の兵法は容赦ないな」



  「おい! 譲! 俺は関係ないだろ!! 俺は!! ……ったく! 知盛! いいとばっちりだぜ、まったく」











08/01/11 UP
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