母 帰る 15
dragon noirの扉が勢いよく開いて、ヒノエが飛びこんでくる。
「譲!! 敦盛、来ていないかい? 昨夜から消えてしまって」
「な、何だって!?」
「敦盛殿が?」
「え〜〜!! ど、どうしたのかな〜〜!」
「携帯は?」
「家に置きっぱなしで、連絡手段無し!」
「じゃあ…」
「行きそうなところは全部、探した。
弘行達、あ、例の大学の仲間も手分けして探してくれてるんだけどね……
譲は無言で携帯を取り出し、どこかにかける。
「あ、もしもし、俺。兄s…! 母さん! 母さんがどうして兄さんの携帯に出るんだ?」
「あら、母親に内緒の兄弟の会話? 仲良いのね」
「違うから。ところで母さん」
「なに?」
「ウチに敦盛っていう俺の友人、行ってないかな?」
「あら、平君? 日本では会ってないわね」
「日本ではって、どういうこと?」
「それより、どうしたの? 今日はみんなが敦紀君を捜してるのね」
「みんなって?」
「ついさっき、藤原君っていう綺麗な男の子がウチに来て、同じ事を将臣に聞いてたわ」
「ヒノエが……。で、兄さんは?」
「そのすぐ後で、慌てて出てったわ。携帯も忘れて」
「そう、……。あ、ちょっと遅くなるかも」
「夕ご飯は?」
「先に食べていてくれないか」
「そうじゃなくて、誰が作r」
母親の言葉を聞かずに、携帯を切り、
「ウチにもう行ったなら、先に言えよ」
とヒノエに言いながら、二人でどこかに出掛けるのだった。
書道教室の扉が開き、無言で知盛が真っ直ぐ教室を横切る。
「よ! 平の兄ちゃん」
「とももり!」
「無視すんなよ!」
「鬼は……? ……どこだ?」
いつものへらへらした笑みの消えた知盛というものを初めて見た教室の子供達は
「まともなスピードで歩けるンじゃん」
「慌ててる??」
「とももりが!? ありえねぇ」
そんな子供達の会話をいっさい無視して、知盛が叫ぶ
「……先生!」
瞬時にリズヴァーンが音もなく現れ
「どうしたのだ?」
「大夫……殿を……」
「敦盛…か。ここには……。…神子ならば」
「あいつ……か…。…分かった」
嵐のように知盛が去った後、リズヴァーンの書道教室も異例の早じまいとなった。