遙かなる時空ときの彼方へ 3.5

     シャニと足往の大冒険! 4











  「さぁ、では『めんきょ』とやらの問題も片づいたようだから出掛けるとするか?」



  「ちょっと待ってください」



  「どうしたの、譲君?」



  「有川、どうしたというのだ?」



  「その格好……、服は着替えないと」



  「この服ではだめなのか?」



  「そうですね……。いくらネィズミーリゾートといっても、ちょっとマズイと思いますよ」



  「では、そちらのお二人は二階に」



  「朔?」



  「身長的に風早殿とリブ殿は、兄上の服で大丈夫そうですから。兄上、よろしいでしょうか?」



  「御意ぃ〜〜、どうぞどうぞ♪」



  「兄上、ありがとうございます」



  「すみません、景時さん」



  「梶原」



  「はい〜?」



  「すまんな、世話になる。さ、リブ。借りて来い」



  「や、どうも、申し訳ないですね。ま、急いで来たもので、着替えは持ってこなかったものですから」



  「いいっていいって〜」



  「でも、着替えを持ってきていても、どうだったでしょう?」



  「や、そうですか? ん〜〜、ま、この服、けっこう気に入ってるのですが」



  「お気遣いいただきましたが、俺は大丈夫」



  「風早殿?」

  「風早さん?」



と見る間に風早の服装が、現代の、しかもカジュアルなものへと変化した。



  「おお、さすがは白麒麟」



  「やっぱり風早さんは神様なんですね」



  「ええ、兄上の服などをお貸ししてはバチが当たってしまうところでしたわ。

   では、リブ殿。どうぞ、こちらへ。風早殿の服ほどに清楚ではありませんが、がまんしてくださいね」



  「さ、朔〜」



朔と景時は、リブを伴って二階に上がっていった。


  「じゃぁ、申し訳ないですが弁慶さん、有川家うちまで車を出してもらえませんか?

   アシュヴィンさんとナーサティアさんの服は、サイズ的に俺ので良さそうだから」



  「ええ、お安い御用ですよ」



  「あ、だったら、私もちょっと家に」



  「望美さんも?」



  「そっちの子の服と」



  「だったら、それも家にも俺と兄さんの子供服がしまってあると思うから。なにもわざわざ先輩の服を」



  「じゃあ、いくつか持ち寄って一番似合うのにしようよ。それにあっちの子の耳も…」



  「え? おいらの耳がどうかしたのか?」



  「ああ…そうか……」



  「ね。私の帽子とか、何か隠せるものも探してくる」



  「そうですね……俺も兄さんもあまり帽子とか被らないからな……、

   リゾートの中に入ってしまえば、どうとでもなるんでしょうけど」



  「うん、みんなネィズミッチーの付け耳してるもんね」



  「先輩? 着せ替えで妙にテンション、上がってません?」



  「うんうん 楽しみー♪」



  「やれやれ。弁慶さん、出掛けるとしましょうか」



  「そうですね」



  「お願いしまーす」







そして30分後、着替えの終わった人々が二階から降りてきた。



  「有川、服の大きさは良いようだ」



  「そうですね、よく似合ってますよ」



  「胸の辺りがスカスカするようで、どうも落ち着かないのだが……。アシュ、どうだ? おかしくはないか?」



  「いや、サティ。存外しっくりいっている。いい感じだ。なかなか男前が上がったぞ」



  「そ、そうか?! からかうな、アシュ!」



  「Vネックのサマーセーターですからね。さっきまでのお二人の服は重くてびっくりしました」



  「着心地は良いのだが、防御となる部分がまるでないのが心許ないな」



  「誰も攻撃してきませんよ」



  「軽過ぎて、何だか着ていないみたいだ」



  「慣れないだけでしょう。ナーサティアさん、ジーンズがよくお似合いですよ」



  「そうか? しかし少し裾が短いような」



  「すみませんでした!」



  「アシュ、有川は何を不機嫌なんだ?」



  「さあな…」



  「譲君だって脚長いのにね〜〜」



  「先輩、こんな時にからかわないでください」



  「譲殿の脚の長さが一番素敵ですわ」



  「……」



  「譲殿??」



  「い、いや…別に」



  「や、私は何だか腹回りがスカスカするのですが…」



  「あははは〜〜」



  「兄上の服は皆、そのようになっているものか、丈が短くてお腹が出るものばかりなので」



  「な、夏服だけだよ〜〜」


  「異世界あっちでは冬でもヘソ出しだったからな、景時さんは」



  「寒さに強いよね。私には無理」



  「普通の人はそれが当たり前よ、望美。兄上は単に鈍感なだけです」



  「さ、朔〜〜」



  「こ、このでかい被り物は取っちゃダメなのか?」



  「キャ〜〜、可愛い」



  「ええ、望美。これはグッジョブよ」



  「でしょでしょ♪ 私の中学時代のお気に入りの麦藁帽子なの。ちょっと避暑地の夏って感じで可愛いかな〜って」



  「シャニ君の服は」



  「上のポロは俺のお古です。中学の時の」



  「下のチノって将臣君のでしょ。小学校の6年の時、遠足に着てた覚えがある」



  「ええ、兄さんのですが……。先輩、よく覚えてますね。小学6年生の遠足の時の、しかも兄さんの服装なんて」



  「そう? だって足往君の半ズボンは譲君のでしょ。小学校4年の時、夏祭りで着てたよね」



  「え? 夏祭り…ですか? 覚えてないけど……。本当によく覚えてるんですね」



  「ヘヘヘ」


  「いいかい足往、その帽子はネィズミーリゾートむこうに着くまで、取っちゃダメだからな。
   それから、シッポもネィズミーリゾートむこうに着くまでは、出さないでいるんだぞ」



  「え〜〜、何でぇ?」



  「何でも! さ、弁慶さん、行きましょう」











走り去る2台の車に手を振って見送りながら景時は



  「今日は、朔のケーキが売る切れた段階で、臨時休業にしちゃおうかな〜〜♪」



と、早くもサボることを企てるのであった。











09/08/21 UP

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