いざ 大運動会! in 常世
第3話 整列!
「OK、これで八葉全員、集合したってわけだ」
「そんな事のために時空まで跳躍させられたんですか! 先輩! 兄さん!」
「望美さん…、困った人ですね。あなたは…」
「望美! 少しは他人の迷惑もだな」
「九郎……」
「し、しかし先生……」
「冷凍食品が……」
望美を中心に、八葉達が騒いでいる。
しかし白龍と望美、それに朔の三人は、
そんな八葉の騒ぎを相手にせず、神代の神子である葦原千尋に何やら説明をしている。
その度に、千尋は飛び上がったり、大きく頷いたりして、喜びを全身で表している。
その様子を、少し離れたところでアシュヴィンは眺め
(前に平成に行った時も思ったが、おもしろい連中だ。
なにより同性で同年代、しかも龍神の神子という境遇まで同じせいか
あの二人、春日望美と梶原朔とは、初対面だというのに話が合うようだ
あんなに楽しそうな千尋は久しぶりに見る)
そう、微笑ましく思うのだった。
(これは……存外、おもしろい展開になりそうだな)
こっそりと策を練るアシュヴィンであった。
「や、ところで殿下」
「ん? 何だ、リブ?」
「ま、こっちをどういたしましょうか?」
「こっち……フ」
そこには、平成の八葉同様に、ワケも分からず常世に召喚され
不満を露骨に表明している神代の八葉達がいる。
「何で? 何で? 俺、姫さんトコにいるわけ?
オレ、カリガネの渡りに付き合ってよ、ず〜〜〜〜〜と西に行ってるハズだぜ」
「まいったな…。また、あいつが来てるのか。やれやれ」
「あいつって、どなたのことでしょうか?」
「ほら、あそこでぶんむくれてる、武蔵坊弁慶と有川譲」
「ああ、いつぞや、この世界を救ってくださった恩人ではありませんか」
「まあね」
「これは、御挨拶を」
「止めといたほうがいいんじゃない? 何だか、立て込んでるみたいだし。
第一、何で僕、こんなトコにいるワケ? ワケ分かんないよ」
「那岐、そう言わず君も柊と一緒に、挨拶して来なさい」
「風早…。あんたもいい加減、先生ぶるのやめようよ」
「………(那岐も、嬉しい。オレも、嬉しい)」
「遠夜…」
「………(照れてる、那岐)」
「冗談! そんな気持ち悪い」
「か、葛城将軍! 私達は中つ国で教練をしていたはず……」
「信じられん! こ、これが神子の力……なのか?」
「姫様に何か一大事なのでございましょうか?」
「分からん。だが布都彦、見てみろ」
「あ!! あれは…」
「そうだ。あの荒神・白龍をなだめ、和神にしてしまった例の二人だ」
「あの二人まで居るということは、やはり何かまた、この世の一大事が?」
「分からないが、しかし…」
「しかし?」
「二の姫の気が知れないな」
「??」
「そうは思わないか、布都彦。
あの、有川譲とかいう男、弓の名手だか何だか知らないが、
以前、あからさまに軍人は嫌いだとか言っていたではないか」
「そう言えば…」
「どうも、俺はあいつが好きではない」
「アシュヴィン、アシュヴィーン♪」
「どうした、千尋」
「あのね、あのね、お願いがあるの」
「なんだ?」
「運動会やろ〜〜」
「うんどうかい?」
「うん、運動会」
「何だ、それは?」
「運動会……う〜〜ん、えっとね」
「まあ、いいさ。お前がやりたいなら、好きにするがいい」
「うわ〜い、ありがとう。アシュヴィン、大好き!!」
「で、何か必要なモノは?」
「ううん、それは大丈夫」
「ほお」
「広い場所さえ貸してくれれば」
「ああ、どこでも好きな所を使え。それ以外は本当にいいのか?」
「うん。風早がね、先生で神様だから」
「お、俺ですか?」
「うん。お願い」
「はあ……」
「千尋の願いだ。聞いてやれ」
「うわ〜い、だからアシュヴィン、大好き!!」
「で? どうすればいいのですか、千尋」
「えっとね、運動会の準備の出来た学校の校庭を用意して欲しいの」
「はいはい。ですが俺はドラえ○んじゃ無いんですからね」
「分かってるから、お願い」
「本当に分かってるんですかね」
そう言いながらも、一瞬で見慣れた、那岐や千尋が以前通っていた高校そっくりの
運動会の準備のすっかり整った校庭が出現した。
万国旗の飾り付けまでしてある。
「う、運動会……、本当にやるのか?」
「………(那岐、うんどうかい?)」
「やれやれ、まいったね。御丁寧にウチの高校じゃん」
《選手の皆さんは、朝礼台の前に集合してください》
千尋の校内放送が鳴り響く。
「は〜〜い!! こっちこっち!!」
朝礼台の上で、望美が叫ぶ。
「右側に鎌倉・平成チーム、左側に神代チーム。2列で整列してくださぁ〜〜い」
「『ちいむ』って何なのでしょうか、将軍?」
「俺にも分からないが、どうやら『班』とか『隊』のようなもののようだ」
「あんた、いい勘してるよ。譲が風邪ひいたような声のわりに」
「また、その言われようか。で、お前は?」
「オレ? オレはヒノエ。よろしく!」
「8人しかいないのに2列?」
「那岐、いいから整列しなさい」
「だから風早、あんた、先生じゃないから」
「そこ! 無駄口を叩かない」
望美の声が飛ぶ。
「ああ、めんどうだ。やる気ないのに」
08/10/03 UP